**「漫画が理解できない」「内容が頭に入ってこない」**と悩んでいませんか?
実は、漫画の読解力には確実に個人差があります。同じ漫画作品を読んでも、読者によって読み取れる情報量や理解度が大きく異なるのが現実です。
漫画が読めない人の原因として、以下の要素が関係しています:
- セリフの意味を正しく理解できていない
- キャラクターの表情や仕草から感情を読み取れない
- コマ割りや時間の流れを把握できない
- 伏線や暗示に気づけない
しかし、漫画の読解力は向上させることができます。読解力を初級・中級・上級の3段階に分類して分析すると、自分がどのレベルにいるかが分かり、適切な改善方法を見つけられます。
漫画作品によって求められる読解力も様々で、読解力の低い読者でも楽しめるように設計された作品から、高い教養レベルを要求する作品まで幅広く存在します。
この記事では、漫画が理解できない原因を明確にし、読解力を段階的に向上させる具体的な方法を解説します。また、「漫画を読むと馬鹿になる」という疑問にも、読解力の観点から科学的に回答します。
読解力と教養を身につければ、必ず自分好みの面白い漫画に出会えるようになります。
漫画が理解できない・読めない人によくある悩み
漫画が理解できないと感じている人は決して少なくありません。よくある悩みとして以下のようなものがあります。
漫画読解に関する主な悩み:
- セリフの意味や文脈が理解できない
- キャラクターの表情や感情が読み取れない
- ストーリーの流れについていけない
- 他の人が面白いと言う作品の良さがわからない
- 漫画を読んでも頭に入ってこない
これらの悩みは、読解力の個人差が原因となっているケースがほとんどです。漫画は「誰でも読める」と思われがちですが、実際には受け手のレベルによって受信できる情報量に大きな差があります。
重要なのは、漫画が理解できないのは決してあなたの知能に問題があるからではなく、適切な読み方や見方を身につけていないだけだということです。
漫画の読解力がない人の特徴とは?見えている情報の差
漫画の読解力には確実に個人差が存在します。これは美術やアート作品を楽しむために知識や教養が必要なのと同じ理屈です。
美術館で同じ絵画を見ても、美術に詳しい人とそうでない人では受け取れる情報量が全く違うのと同様に、漫画も読み手のレベルによって理解度が大きく変わります。
ただし、漫画のすごいところは**「教養がない人でも教養が無いなりに楽しめてしまう」**ことです。
極端な例として、日本語が読めない人が日本の漫画を見た場合を考えてみましょう。セリフが全く理解できなくても、キャラクターの動きや表情でなんとなくストーリーがわかるし、ストーリーがわからなくても「キャラが好き」だけで楽しめてしまいます。
しかし、セリフを読めた方がもっと楽しめるのは言うまでもありません。
同じ日本語圏で生まれ育った日本人であっても、想像以上に漫画の読解力や教養による読み取り方の差は大きいのが現実です。この差が、漫画談義で話が噛み合わなかったり、他人の評価が理解できなかったりする理由となっています。
漫画読解力を初級・中級・上級の3段階で分析
漫画の読解力をわかりやすく3段階に分類して、それぞれの特徴を詳しく解説します。
レベル | 読解の特徴 | 対象者の目安 |
---|---|---|
初級 | 部分的に理解 | 小中学生、漫画を読まない大人 |
中級 | 全体的に理解 | 高校生以上で基本的国語力がある人 |
上級 | 描かれていないことも理解 | 日本人の上位2割程度 |
漫画読解力:初級レベルの特徴
対象者の傾向
初級レベルの読解力を持つ人の特徴:
- 小中学生
- 漫画をほとんど読まない大人
- 教養レベルが比較的低い大人
- Twitterの140文字を正しく読めないレベルの人
読み方の特徴
初級レベルの人は漫画を部分的にしか読めていません。具体的には以下のような読み方をしています。
読み方の問題点:
- 読めるところだけを読むような見方
- 表面的な部分だけの読み取り
- 作者の真意を読み取れず誤解することが多い
漫画は、セリフの意味がよくわからなくてもキャラクターの表情を見ただけでなんとなく意味がわかるように設計されており、その逆も然りです。また、作者の真意を読み取れず誤った受け取り方をしても、それでも漫画は読み進められるようになっています。
そのため、本人は**「ちゃんと漫画が読めている」と錯覚している**人が多いのが実情です。
漫画の見方例
異世界転生モノの作品を例に説明します。ここ10年で無数の異世界転生作品が生まれましたが、作者には申し訳ないながら、一部の作品を除いてほとんどは有象無象です。
エンタメ作品として高く評価されているのは『無職転生』『転生したらスライムだった件』『盾の勇者』など一部に限られます。
しかし、読解力初級の人には『無職転生』と他の有象無象の異世界転生モノが同じに見えています。これは「異世界転生モノ」という表面的な情報しか受け取れていないためです。
食事に例えると、メインの肉料理だけを食べてコース料理全体を評価するようなもので、咀嚼力がないため汁物や柔らかくて食べやすい品だけをかいつまんで食べて、会席料理全体を批評している状態です。
漫画読解力:中級レベルの特徴
対象者の傾向
中級レベルに該当する人の特徴:
- 高校生以上で最低限の国語力・観察力・思考力が身についている
- Twitterの140文字を正しく読めるレベルの人
- 日本人の約半数は中級レベルに到達できていない可能性が高い
読み方の特徴
中級レベルの人は漫画に描いてあること(絵・セリフ・説明)を一通り読み取れています。
読み取れる情報の範囲:
- 書いてあるセリフや説明文の正確な理解
- キャラクターの表情や仕草からの感情読み取り
- 文脈の理解
食事に例えると、牛肉・豚肉・鶏肉の違いがちゃんとわかる人で、出された品やコース料理を全部食べられる人です。
漫画の見方例
中級レベルの人は、**「セリフはこう書いてあるけど、こういう表情をしているから、こういう意味での発言だな」**と理解できます。また、「セリフは書いてないけど表情や仕草からこういうことを考えているんだな」と読み取ることも可能です。
これは文脈が理解できる状態と言えるでしょう。
食事に例えると、コース料理なら食前酒・前菜・メイン・デザートだと理解して食べられ、会席料理なら前菜・汁・向付け・ご飯・香の物・デザートなど9品から11品を理解して食べられる状態です。つまり、メニューに書いてある内容を全部咀嚼して飲み込めるということです。
最低限中級以上の読解力がないと、漫画作品を適切に批評する立場にはないと考えられます。
漫画読解力:上級レベルの特徴
対象者の傾向
上級レベルの読者の特徴:
- 漫画に描いてないことを読める能力を持つ
- 考察などを楽しめる
- 肌感覚で日本人の上位2割程度
- ここから先は個人の興味や専門性によって、どの方向にどれだけ深く・広く漫画を見るかが分かれる
漫画に描いてないことを読める能力
**「漫画に描いてないことを読める」**とは具体的にどういうことでしょうか。
読み取れる要素の例:
- 伏線の理解:「これが伏線です」「これが回収です」とは漫画に書かれていないが、話を越えて複数の情報を結びつけられる
- 制作背景の推測:時事ネタの活用、作者の趣味や思想、メカの描き込みへのこだわり、声優の起用意図など
- 他作品との関連性:オマージュや影響関係の発見
- 時間経過の把握:画力の変化、現実時間と漫画内時間のギャップの認識
上級読者の楽しみ方
上級の読み方をするためには漫画に対する知識・一般教養・人生経験が必要です。そのため、漫画を深く読むには教養が必要であり、漫画を楽しめない人は情報を読み取れていないだけと考えることもできます。
食事に例えると、以下のような楽しみ方ができます:
- この食材を仕入れるとはやりおるな
- この食材があるタイミングで運がいいな
- この時期だからこの食材を使っているんだな
- この場所だからこの食材がこの値段で出せるのかな
- この食材はこういう料理にも使えるんだなという気づき
つまり、料理のメニューに書いてないことに気づいて楽しめるかどうかが上級レベルの特徴です。
漫画作品によって求められる読解力レベルが違う理由
漫画作品は作者の意図によって、読者に求める読解力のレベルが大きく異なります。同じ「漫画」というメディアでも、表面的な楽しみ方しかできない作品から、深い考察や教養が必要な作品まで幅広く存在しているのが現実です。
この違いを理解していないと、「漫画が理解できない」と感じたり、逆に「この漫画はつまらない」と誤った評価をしてしまう可能性があります。
初級~上級読者まで楽しめる作品の特徴
代表例:ハンターハンター
『ハンターハンター』は読解力のレベルに関係なく楽しめる一方で、上級読者ほど深く理解できる代表的な作品です。
初級読者でも楽しめる要素:
- わかりやすい主人公の目標設定(父親探し)
- 視覚的にインパクトのある戦闘シーン
- キャラクターの表情や動きだけでも状況が理解できる表現
上級読者だからこそ理解できる要素:
読解力が高い読者には以下のような情報が読み取れます:
- 複雑な念能力システム:6つの系統(強化・変化・具現化・放出・操作・特質)の相互関係
- 伏線と回収:数巻にわたって仕込まれた設定の繋がり
- 心理戦の駆け引き:キャラクター同士の思惑や騙し合い
- 世界観の奥深さ:暗黒大陸や五大災厄などの壮大な設定
食事に例えるなら、見た目はお子様ランチのようにわかりやすいが、実際は全ての料理が超本格的な高級料理で構成されている状態です。子供も大人も楽しめますが、舌が肥えた人ほどその技術の高さに驚かされます。
中級以上の読解力が必要な作品の特徴
代表例:無職転生
『無職転生~異世界行ったら本気だす~』は、一見すると他の異世界転生作品と同じに見えるが、実際は高い読解力を要求する作品です。
読解力初級者の見方:
- 「また異世界転生か」程度の認識
- チート能力を持った主人公の活躍を表面的に楽しむ
- 他の有象無象の異世界転生作品と区別がつかない
読解力中級者の見方:
- 他の異世界転生作品との違いに気づく
- 主人公の心理描写の丁寧さを理解
- 家族関係や人間ドラマの深さを読み取る
読解力上級者の見方:
上級読者には以下のような要素が見えています:
- 異世界転生ジャンルの金字塔的地位:「なろう系」のパイオニア的存在としての影響力
- 人生のやり直しというテーマの深さ:前世の後悔と現世での成長の対比
- 長期的な物語構成:赤ん坊から老人まで描く壮大なライフストーリー
- リアルな人間関係の描写:親子の再会、誤解、和解の心理的リアリティ
食事に例えるなら、高級なお吸い物や京都のおばんざいのように見た目は地味だが、実際は非常に高い技術で作られた逸品です。ハンバーグやカレーを好む小学生には不人気でも、舌の肥えた大人なら「いい出汁を使っている」「こんなに薄味なのに美味しく作る技術がすごい」と理解できます。
読解力をあまり必要としない作品の特徴
漫画アプリの人気作品の傾向
現在の漫画アプリで上位ランキングに入る作品の多くは、以下のような特徴を持っています:
人気漫画アプリの現状:
- ピッコマ:2023年の世界収益5億ドル超でトップ
- LINEマンガ:収益ランキング2位(4億ドル)
- ジャンプ+:「SPY×FAMILY」「怪獣8号」などの話題作を配信
読解力をあまり必要としない作品の特徴:
これらのアプリで人気を集める作品には以下の傾向があります:
- わかりやすい設定:「能力バトルかっこいい」「美少女かわいい」で完結
- 即座に理解できる展開:複雑な伏線や考察要素が少ない
- 視覚的なインパクト重視:派手な戦闘シーンや美麗なキャラクターデザイン
- 短時間で消費しやすい構成:スマホでの読書に最適化された構造
なぜこうした作品が人気なのか:
漫画アプリの利用者層を考えると、その理由が見えてきます:
- スキマ時間での消費:通勤・通学中の短時間読書
- 若年層の利用者が多い:中高生を中心とした読解力初級~中級層
- 無料で気軽に読める:深く考えず娯楽として消費
食事に例えるなら、マクドナルドやポテトチップス、カップラーメンのようなファーストフードです。手軽に食べられて一定の満足感は得られますが、食事を深く楽しんだり、人と語り合ったりするような体験は期待できません。
ランキング上位=面白い作品ではない理由
漫画アプリのランキングは利用者の読解力レベルに大きく影響されます。読解力初級者の票が多ければ、必然的に初級向けの作品が上位に来るのは当然の結果です。
読解力上級者からすると、これらの作品は考察したり思考を巡らせる余地がないため物足りなく感じられることが多いのが実情です。
漫画の読解力がない人向け改善方法
漫画が理解できない・読めないと感じている人でも、適切な方法で練習すれば読解力は確実に向上します。段階的なアプローチで、無理なく漫画を楽しめるレベルまで引き上げることが可能です。
読解力を向上させる具体的な練習法
基礎的な読解力を身につける方法
短編漫画から始めるのが最も効果的です。1話完結の作品なら情報量が限定されているため、セリフと絵の両方を丁寧に読み取る練習ができます。
読解力向上の練習手順:
- セリフを声に出して読む:内容理解が深まり、感情のニュアンスも掴みやすくなる
- 表情と仕草を意識的に観察する:キャラクターの心情をセリフ以外から読み取る訓練
- コマの順序を確認する:日本の漫画は右から左、上から下の順序で読む基本を徹底
- 背景の情報も読み取る:場所、時間、状況設定を絵から理解する練習
中級レベルへのステップアップ法
複数話にわたる作品で、前回の内容を思い出しながら読む練習をします。伏線や展開の予測を意識することで、漫画に描かれていない情報を読み取る力が養われます。
初心者におすすめの漫画作品選び
読解力のレベル別に、適切な作品を選ぶことが上達の近道です。
読解力初級者向けの作品特徴
読解力向上に適した作品の条件:
- セリフが多めで説明が丁寧
- 絵柄がシンプルで分かりやすい
- ストーリー展開が直線的
具体的なおすすめ作品例:『ドラえもん』『サザエさん』のような国民的作品は、読解力に関係なく楽しめるよう設計されているため、練習に最適です。
中級者向けの作品選び
4コマ漫画は短い中に起承転結が凝縮されており、文脈理解の練習に効果的です。また、学園ものや日常系の作品は、複雑な設定が少なく内容理解しやすいのが特徴です。
上級者を目指す作品選び
『ハンターハンター』のような初級者でも表面的に楽しめるが、深く読むと奥が深い作品が理想的です。同じ作品を時間を置いて読み返すことで、読解力の向上を実感できます。
段階的な読解力アップのコツ
無理をしない段階的なアプローチ
自分の現在の読解力レベルより少し上の作品を選ぶことが重要です。いきなり難易度の高い作品に挑戦すると挫折の原因になります。
読解力アップのポイント:
- 同じ作品を複数回読む:1回目で理解できなかった部分が2回目で分かることが多い
- 他の読者の感想や考察を参考にする:自分では気づけなかった視点を学べる
- 作者のコメントやインタビューを読む:作品の背景や意図を理解できる
読解力の成長を実感する方法
過去に読んだ作品を再読することで、自分の成長を客観的に把握できます。以前は気づかなかった伏線や細かい表現が理解できるようになっていることに気づくはずです。
「漫画を読むと馬鹿になる」は本当か?読解力の観点から検証
この古い偏見は、漫画の読解力レベルの多様性を理解していない時代の産物です。読解力の観点から検証すると、むしろ逆であることが分かります。
「馬鹿になる」説が生まれた背景
昔言われた**「漫画ばかり読むと馬鹿になる」**は、主に以下の誤解から生まれました:
- 読解力初級レベルの作品しか知らなかった当時の大人の認識不足
- 上級レベルの漫画読解が存在することへの想像力不足
- 活字至上主義による根拠のない偏見
読解力向上に漫画が果たす役割
実際には、漫画は複合的な情報処理能力を養う優れた教材です。
漫画読解で鍛えられる能力:
- 視覚情報と文字情報の同時処理
- 非言語的コミュニケーションの理解(表情、仕草、間の読み取り)
- 時系列の理解と記憶の保持
- 想像力と推察力の向上
作品選択の重要性
「漫画を読むと馬鹿になる」なんてことはありませんが、馬鹿が馬鹿のままでも読めるように作られているのが漫画の特徴でもあります。
重要なのは、本当に漫画を楽しもうとするのであれば、作品に合わせて読解力や教養レベルを上げる必要があるということです。漫画をどう読むかは結局本人次第なのです。
読解力・教養があると漫画がより楽しめる理由
読解力と教養は、漫画の楽しみ方を飛躍的に拡張します。表面的な理解だけでは味わえない深い満足感を得ることができるのです。
上級読者が体験できる漫画の楽しみ方
読解力上級者は、漫画を多層的に楽しんでいます。
上級読者の楽しみ方の特徴:
- 伏線の発見と回収の快感:複数の話をまたいだ情報の結びつけ
- 作者の意図や背景の推察:時事ネタや個人的趣味の発見
- 他作品との関連性の理解:オマージュや影響関係の発見
- 制作過程の想像:画力の変化や制作スケジュールの推測
批判的視点も楽しみの一部
読解力の高い人が作品を批判的に見ているのは、批判したくてあら探しをしているわけではありません。読解力が低い人では見えない・気づけない部分が見えているだけです。
例えば、矛盾点や作画の問題に気づいてしまうのは副作用ですが、それ以上に読解力の低い人では味わえない漫画の楽しみ方ができているのが実際のところです。
教養が深める作品理解
電車で駅弁を食べる例で考えてみましょう。何を食べても「うまい!」と言うだけの人もいれば、その地域と時期の特産物が弁当に入っていることに気づいて楽しめる人もいます。
漫画も同じで、作者が魂を込めて作った作品の隅々まで読み解き、作品に描かれていない背景まで楽しめた方が圧倒的にお得です。
まとめ:漫画が理解できない人も読解力は向上できる
漫画の読解力が初級~中級レベルにも関わらず「漫画全般が面白くない」と感じている人は、単純に面白さを感じるだけの教養・読解力が足りていないだけです。
これだけ膨大な量の作品が存在する中で、自分の好みに合う漫画が存在しないなんて考えづらいことです。読解力があってちゃんと漫画で表現されていることが読み取れれば、「この漫画は面白い」「これは好き」と思える作品が絶対にあります。
適切な方法で段階的に読解力を向上させれば、誰でも漫画をより深く楽しめるようになります。焦らず自分のペースで、まずは読みやすい作品から始めてみてください。