ブログ記事の執筆に時間がかかりすぎると悩んでいませんか?「音声入力を使えば記事が早く書ける」という情報を目にして、試してみようと考えている方も多いでしょう。
しかし、音声入力でブログ執筆が劇的に早くなるのは、特定のタイプの人だけというのが実際のところです。
音声入力が効果的な人は、物語のようなストーリー性のある文章を書くのが得意な人に限られます。一方で、論理的な構造を持つ文章を書く人は、アイデアを練る思考時間の方が長いため、タイピングか音声かといった入力方法の違いによる時間短縮効果は期待できません。
この記事では、音声入力でブログを書く前に知っておくべき向き不向きの判断基準と、実際に音声入力を試した検証結果をお伝えします。また、音声入力に向いている人向けの具体的な執筆方法と、向いていない人が試すべき代替手段についても詳しく解説します。
文章には2種類のタイプがあることを理解すれば、あなたが音声入力で執筆速度を上げられるかどうかが事前に判断できるようになります。無駄な時間を使って音声入力に挫折する前に、まずは自分の文章タイプを見極めてみてください。
ブログ音声入力の現実:早く書けるかは文章タイプで決まる
「音声入力でブログが早く書ける」という話は半分正解、半分間違いです。実際には、あなたが書く文章のタイプと、あなた自身の書き方によって効果が大きく変わります。
ストーリー文章とストラクチャー文章の違い
ブログ記事には2つのタイプがあり、音声入力との相性が全く異なります。
ストーリー文章(物語的)
特徴:
- 導入から締めまで一連の流れで書く
- 頭の中にある考えをそのまま文章にする
- 日記、体験談、オピニオン記事が代表例
具体例:
- 「今日こんなことがあって…」という日記ブログ
- 商品レビューや体験談
- 思考や感情を綴るエッセイ風記事
ストラクチャー文章(構造的)
特徴:
- 先に全体構成や見出しを決める
- データや資料を整理してまとめる
- 論理的な構造を持つ記事
具体例:
- ハウツー記事や解説記事
- 比較・分析記事
- SEOを意識した構造化された記事
文章タイプ | 書き方 | 音声入力との相性 |
---|---|---|
ストーリー文章 | 思いついた順に一気に書く | ◎ 非常に良い |
ストラクチャー文章 | 構成を練ってから書く | △ あまり良くない |
音声入力に向いているブロガーの特徴
音声入力で実際に執筆速度が上がる人には、明確な特徴があります。
台本なしで話せる人
具体的な能力:
- プレゼンテーマを与えられて、原稿なしでまとまった話ができる
- 人に何かを説明するとき、自然と順序立てて話せる
- 頭の中で文章構成を組み立てながら話せる
ストーリー型の書き手
書き方の特徴:
- ブログを書くとき、最初から最後まで一気に書き上げる
- 書きながら内容を考える
- 感情や体験をそのまま文章にするのが得意
代表例: 勝間和代さんのような、頭の中の考えを流れるように話せる人
口述筆記ができる人
必要なスキル:
- 一文ずつ、完成された文章を口で言える
- 話す内容を脳内で文章として組み立てられる
- 「えーっと」「あのー」などの無駄な言葉を使わずに話せる
検証結果:音声入力で執筆時間が短縮される条件
実際の執筆時間の内訳を分析すると、音声入力の限界が見えてきます。
ストラクチャー文章の執筆時間
作業工程 | 所要時間 | 音声入力の効果 |
---|---|---|
調査・資料集め | 90分 | 効果なし |
構成作り | 60分 | 効果なし |
執筆(下書き) | 60分 | ここだけ短縮 |
推敲(完成) | 60分 | 効果なし |
重要な事実: タイピング60分が音声入力で30分になっても、全体270分のうち30分短縮にしかなりません。
音声入力で時間短縮できる条件
効果が出る場合:
- ストーリー文章を書く人
- 思考時間より入力時間の方が長い人
- 台本なしで話せる能力がある人
効果が出ない場合:
- 何を書くか考える時間の方が長い人
- 構造的な文章を書く人
- データや論理を整理しながら書く人
結論: 音声入力で劇的に早くなるのは、「話すように書く」タイプの人だけです。多くのブロガーが期待するような「誰でも3倍速」という効果は現実的ではありません。
ブログ音声入力に向いている人・向かない人
音声入力でブログ執筆が効率化できるかは、書く文章のタイプとあなたの思考パターンによって決まります。すべてのブロガーに効果があるわけではなく、相性の良し悪しがはっきり分かれる執筆手法です。
音声入力で効果が出るブロガータイプ
日記・体験談を書く人
ストーリー型の文章を書く人は音声入力との相性が抜群です。日記、体験談、オピニオン記事など、時系列や感情の流れに沿って書く文章が得意な人は、音声入力で大幅な時間短縮が期待できます。
ストーリー型文章の特徴:
- 導入から結論まで一連の流れで書く
- 自分の体験や感情を中心とした内容
- 構成を深く考えなくても自然に文章が続く
このタイプの代表例として、勝間和代さんのような著者が音声入力を積極的に推奨しているのも納得できます。頭の中にある体験や感情をそのまま言葉にできるため、タイピングの3倍程度の速度で執筆が可能になります。
頭の中で構成を組み立てられる人
音声入力を始める前に、脳内で記事の全体構造を完成させられる人は音声入力に向いています。何を話すか迷うことなく、論理的な流れで最後まで一気に話し続けることができるからです。
頭の中で構成を組み立てられる人の特徴:
- 話すべき内容の順序が明確に見えている
- 各セクションで伝えたいポイントが整理済み
- 話しながら次の話題にスムーズに移れる
ただし、このレベルの構成力を持つ人は限られており、多くの人にとっては難しいスキルです。
台本なしプレゼンができる人
即興でまとまった話ができる能力は、音声入力での記事執筆と直結します。会議でのプレゼンテーションや説明が得意な人は、ブログでも同様のスキルを発揮できます。
台本なしプレゼンができる人の特徴:
- テーマを与えられてもスラスラ話せる
- 話しながら論点を整理して説明できる
- 聞き手を意識した分かりやすい話し方ができる
このスキルがある人なら、ブログのテーマを決めるだけで、あとは音声入力で一気に記事を完成させることが可能です。
音声入力が逆効果になるブロガータイプ
構造的な記事を書く人
ストラクチャー型の文章を書く人にとって、音声入力は時間短縮につながりません。データ分析、比較検討、ハウツー記事など、論理的な構造が重要な記事では、むしろ執筆時間が長くなる可能性があります。
ストラクチャー型文章の執筆プロセス:
- 調査・資料集め:90分
- 構成作り:60分
- 執筆(下書き):60分 ← ここだけ短縮しても効果は限定的
- 推敲(完成):60分
音声入力で「執筆」の60分が30分になっても、全体の270分が240分になるだけです。さらに音声入力した文章の修正時間を考えると、実質的な時間短縮は期待できません。
データ分析・考察記事を書く人
数値やグラフを参照しながら書く記事、引用や出典が多い記事では、音声入力の活用が困難です。何を書くか考える時間の方が圧倒的に長いため、入力速度の向上だけでは執筆効率は改善されません。
データ重視の記事で音声入力が難しい理由:
- 正確な数値や固有名詞の音声認識が困難
- 資料を確認しながらの執筆ができない
- 論理的な繋がりを重視するため、修正が大幅に必要
タイピング思考型の人
書きながら考えることで文章を組み立てる人は、音声入力との相性が悪いです。キーボードで文字を打つ行為自体が思考の整理に役立っているため、音声入力では同じクオリティの文章が書けません。
タイピング思考型の人の特徴:
- 書いては消し、また書くを繰り返す
- 文字を見ながら次の展開を考える
- 手を動かすことで思考が活性化される
このタイプの人が音声入力を使うと、散らかった情報をパソコンで整理するという二度手間が発生し、結果として執筆時間が増加してしまいます。
向いている人 | 向かない人 |
---|---|
ストーリー型文章が得意 | ストラクチャー型文章が得意 |
体験談・日記を書く | データ分析・考察記事を書く |
即興プレゼンができる | タイピングしながら考える |
脳内で構成を組み立てられる | 書いて消してを繰り返す |
自分がどちらのタイプか分からない場合は、5分程度の短い記事で音声入力を試してみることをおすすめします。相性の良し悪しは実際に試してみれば、すぐに判断できるはずです。
ブログを音声入力で書く具体的な方法
音声入力でブログ執筆する手順
音声入力でブログを書く基本的な流れは3ステップです。普通のブログ執筆と変わるのは、最初のテキスト入力がタイピングから音声入力になるところだけです。
事前準備:構成・台本作り
ストラクチャー(構造的)な文章を音声入力するなら、事前の構成作りが不可欠です。文章を書く前に何を喋るかの大まかな構造を作り、ノートにまとめてから音声入力を進める必要があります。
台本づくりのポイント:
- 見出しごとの要点を箇条書きでまとめる
- 話す順序を明確に決める
- 専門用語や固有名詞は事前にリスト化しておく
ただし、台本作りに30分以上かけるなら、結局トータルの執筆時間は早くなりません。台本を書くのであれば、音声入力をする前に記事が出来上がっていることになるので本末転倒です。
音声入力の実行
音声入力はパソコンでもスマホでもどちらでも実行可能です。使いやすい方を選択してください。集中できる静かな環境で実行することが重要です。
修正・編集作業
音声入力したテキストは句読点や改行がなく読みづらい状態になります。必要に応じて以下の修正を行います:
修正作業の内容:
- 句読点・改行の追加
- 誤変換の修正
- 文章構造の整理
おすすめの音声入力ツール
Googleドキュメントでの音声入力
使いやすさや変換の精度、スピードを考慮すると、2025年現在ではGoogleドキュメントが最も優秀です。
項目 | 内容 |
---|---|
対応ブラウザ | Chrome、Firefox、Edge、Safari(最新バージョン) |
精度 | 非常に高い |
同期機能 | リアルタイム同期対応 |
無料利用 | 可能(要Googleアカウント) |
PCでの使用方法
- Googleドキュメントを開く
- 「ツール」→「音声入力」を選択
- マイクアイコンをクリックして音声入力開始
- 話し終わったらマイクをクリックして音声入力をオフ
ショートカットキーも利用可能:
- Windows:
Ctrl + Shift + S
- Mac:
⌘ + Shift + S
スマホでの使用方法
Googleドキュメントアプリをインストールしてからドキュメントを開き、キーボードのマイクボタンをタップするだけで音声入力が開始されます。
スマホで音声入力すれば、リアルタイムでPC画面のGoogleドキュメントにも反映されるため、移動中に音声入力して後でPCで編集することも可能です。
スマホ(iPhone・Android)の音声入力機能
iPhone・iPadの音声入力
iOSに標準搭載されている音声入力機能を利用できます。
設定方法:
- **「設定」→「一般」→「キーボード」**と進む
- 「音声入力」をオンにする
- キーボードのマイクボタンをタップして使用開始
Androidの音声入力
Gboardアプリを使用して音声入力を行います。多くのAndroidスマホにプリインストールされています。
使用方法:
- テキスト入力可能なアプリを開く
- キーボード上部のマイクアイコンをタップ
- 「お話しください」表示後に音声入力開始
Windows・Macの音声入力設定
Windows音声入力
Windows 11では日本語音声入力がサポートされており、標準機能として利用可能です。
起動方法:
- Windowsキー + H で音声入力モードを起動
Mac音声入力
Macには標準で音声入力機能が搭載されています。
設定手順:
- **「システム設定」→「キーボード」**と進む
- 「音声入力」をオンにする
- ショートカットキーまたはメニューから使用
音声入力に適したマイク・機材
基本的にはスマホのマイクで十分
スマホの内蔵マイクで録音すれば十分なので、別途マイクを用意する必要はありません。パソコンで録音したい場合は外部マイクがあった方が音声認識の精度が向上します。
手軽に始めるなら
マイク付きイヤホンを接続すれば十分です。多くの人が既に持っているため、追加投資なしで音声入力の品質を向上できます。
本格的に活用するなら
ラジオ配信やYoutube動画投稿も考えている人は、以下のような高品質マイクの導入を検討してください:
- USB接続のコンデンサーマイク
- ノイズキャンセリング機能付きマイク
- 指向性マイク(周囲の雑音を拾いにくい)
ChatGPTとの組み合わせ活用法
2025年現在では、音声入力とChatGPTを組み合わせる手法が注目されています。
活用の流れ:
- 音声入力で文章を作成
- ChatGPTに句読点・改行の追加を依頼
- 文章構造の整理をChatGPTに依頼
- 最終的な修正を手動で実行
この手法により、音声入力の弱点である修正作業を大幅に短縮できます。
ブログ音声入力のコツと改善テクニック
音声入力でブログを書く際は、単に話すだけでは精度が上がりません。適切な話し方と効率的な修正方法をマスターすることで、実用的なレベルまで引き上げることができます。
音声入力の精度を上げる話し方
適切な話速とトーン
音声入力の精度を左右する最重要ポイントは話し方です。以下の3つを意識することで、認識精度を大幅に向上できます。
音声入力に適した話し方の基本:
- 普段の話速の80%程度でゆっくり話す
- 標準語で話す(方言や訛りは認識精度が下がる)
- ハッキリとした発音を心がける
早すぎても遅すぎても誤変換が増えるため、句読点までは一気に話すのがコツです。単語単位での発話は同音異義語の区別が難しく、誤変換の原因となります。
また、「えーと」「あー」などのつなぎ言葉は認識精度を下げる原因となるため、できるだけ避けましょう。言い直しや迷いが生じた場合は、一度音声入力を停止して仕切り直すのが効果的です。
句読点・改行の音声コマンド
音声入力では句読点や改行を音声で指定できます。これをマスターすることで、後の修正作業を大幅に削減できます。
入力したい記号 | 音声コマンド | 認識例 |
---|---|---|
、(読点) | 「てん」 | 音声入力は、便利です |
。(句点) | 「まる」 | 音声入力は便利です。 |
改行 | 「かいぎょう」 | 音声入力は便利です。<br>続きの文章 |
?(疑問符) | 「はてなまーく」 | 本当ですか? |
!(感嘆符) | 「びっくりまーく」 | すごいです! |
iPhoneの方がAndroidより句読点の認識精度が高い傾向にあります。Androidを使用する場合は、より意識的にゆっくり話すことを心がけてください。
固有名詞・専門用語の対策
ブログでよく使う固有名詞や専門用語は、事前に対策しておくことで認識精度を上げられます。
固有名詞・専門用語の対策方法:
- スマホの単語登録機能を活用(よく使う単語を事前登録)
- カタカナ表記で話す(「WordPress」→「ワードプレス」)
- 言い換え表現を用意(認識されない場合の代替案)
特にブログ関連用語(SEO、アフィリエイト、PVなど)は、カタカナや日本語での言い換えを準備しておくと効率的です。
効率的な修正・編集方法
一文ずつの口述筆記テクニック
音声入力に慣れない人におすすめなのが、一文ずつ音声入力を行う「口述筆記」のアプローチです。
口述筆記の手順:
- 一文を音声入力
- 必要箇所をタイピングで即座に修正
- 次の一文を音声入力
- この繰り返し
このやり方の利点は、誤変換をすぐに発見・修正できることです。時間が経つと「何を話したか忘れてしまう」ため、音声入力から修正まではセットで行うのが鉄則です。
また、音声入力しにくい内容はそのままタイピングに切り替える柔軟性も重要です。すべてを音声で入力する必要はありません。
タイピングとの使い分け
音声入力とタイピングの使い分けが上達の鍵です。以下の基準で判断してください。
音声入力に向いている内容:
- 体験談や感想(ストーリー性がある文章)
- 説明文(話し言葉で表現しやすい内容)
- 長文の下書き(後で構成を整理する前提)
タイピングに向いている内容:
- 数字やデータ(正確性が求められる)
- 専門用語が多い文章
- リスト形式の内容
- 修正・微調整
音声入力の精度は慣れないうちは70%程度、慣れると90%程度まで向上します。しかし100%ではないため、修正作業とのバランスが重要です。
文字数カウントの活用
音声入力では文章量が把握しにくいという問題があります。この対策として、文字数カウント機能を活用しましょう。
Googleドキュメントの場合、Better Word Count アドオンを導入すればリアルタイムで文字数が表示されます。これにより「いつまで話せばいいのかわからない」という問題を解決できます。
目安として、5分の音声入力で約1,500文字程度の文章になります。ブログ記事の構成に合わせて、セクションごとの文字数を設定して音声入力を行うと効率的です。
ChatGPTと組み合わせた音声入力活用法
2025年現在、音声入力とAIの組み合わせが新たなブログ執筆手法として注目されています。
ChatGPT活用の基本フロー:
- 音声入力で思考を一気に吐き出す(構成は気にしない)
- ChatGPTに文章構造の整理を依頼
- 必要に応じて追加の音声入力
- 最終的な文章調整を手動で実施
音声入力の「構造的でない」弱点をAIで補完できるため、ストラクチャー型の文章を書く人にも有効です。
ChatGPTへの依頼例:
以下の音声入力した文章を、ブログ記事として読みやすく整理してください:
- 段落分けと見出し設定
- 重複部分の削除
- 論理的な流れの改善
- ですます調への統一
ただし、ChatGPTが生成した文章には最終チェックが必須です。事実と異なる内容の追加や、意図しない表現への変更が発生する可能性があるためです。
音声入力→AI整理→手動調整のフローを確立することで、従来の執筆時間を50%以上短縮できる可能性があります。

音声入力でブログを書いた実体験レビュー
実際に音声入力でブログ記事を執筆し、従来のタイピング方式と比較検証しました。結論として、文章タイプによって効果は大きく異なり、全ての人に音声入力が有効ではないことが判明しました。
ストーリー文章での音声入力結果
感情や体験談を音声入力で書いた場合
ストーリー性のある文章(日記、体験談、オピニオン系記事)では、音声入力の効果を実感できました。
音声入力のメリット:
- 思考の流れに沿って自然に文章が展開
- 感情やニュアンスが表現しやすい
- タイピング速度の制限を受けない
実際に体験談を音声入力で書いた際は、導入から結論まで一気に話し切ることができ、文章の流れも自然でした。修正作業も主に誤変換の訂正程度で済み、全体的な構成はそのまま使用できるレベルでした。
ストーリー文章での執筆時間
作業工程 | 音声入力 | 従来タイピング |
---|---|---|
構想・準備 | 10分 | 15分 |
執筆(下書き) | 15分 | 45分 |
修正・推敲 | 20分 | 30分 |
合計時間 | 45分 | 90分 |
ストーリー文章では約50%の時間短縮を実現できました。
ストラクチャー文章での音声入力結果
論理的・構造的な記事を音声入力で書いた場合
ストラクチャー文章(解説記事、分析記事、ハウツー記事)では、音声入力の効果はほとんど感じられませんでした。
音声入力の課題:
- 論理的な構成を保ちながら話すのが困難
- 情報が散らかり、後の整理に膨大な時間が必要
- データや数値の正確な入力が難しい
実際の体験では、頭の中にある情報を構成なしに全て吐き出す形になり、その後パソコンで情報を整理して記事の形に直す作業が発生しました。これは「構成ができていない外注ライターの記事をリライトする」作業に似ており、最初からタイピングで書いた方が早いという結果になりました。
構造的文章で失敗した具体例
音声入力で解説記事を書こうとした際の問題点:
内容の重複と散乱:
- 同じ情報を何度も繰り返し説明
- 見出しの順序が論理的でない
- 重要な情報が抜け落ちる
修正作業の増大:
- 情報の整理と再構成に2時間以上
- 論理的な流れの修正が必要
- 結果的にほぼ全面書き直し
従来のタイピングとの執筆時間比較
ストラクチャー文章での詳細比較
構造的な記事(この記事のような解説記事)での実際の執筆時間を比較しました。
作業工程 | 音声入力 | 従来タイピング | 差分 |
---|---|---|---|
調査・資料集め | 90分 | 90分 | ±0分 |
構成作り | 60分 | 60分 | ±0分 |
執筆(下書き) | 30分 | 60分 | -30分 |
修正・推敲 | 120分 | 60分 | +60分 |
合計時間 | 300分 | 270分 | +30分 |
結果として、音声入力の方が30分長くかかるという結果になりました。
時間短縮できない理由
思考時間の占める割合:
- 何を書くかを考える時間:全体の70%
- 実際の入力時間:全体の30%
入力方法による影響は限定的:
- 音声入力で入力時間が半分になっても、全体では15%の短縮
- 修正時間の増加により、結果的に総時間は増加
音声入力が有効な条件
実体験から、以下の条件が揃った場合のみ音声入力が有効でした:
有効な条件:
- ストーリー性のある文章を書く
- 頭の中で構成を組み立てながら話せる
- 台本なしでプレゼンができる能力がある
無効な条件:
- 論理的・構造的な文章を書く
- データや数値を正確に扱う必要がある
- 口下手で文章が口から出てこない
この検証結果から、音声入力は万能ではなく、文章タイプと書き手の特性によって効果が大きく左右されることが明確になりました。
音声入力のメリット・デメリット
音声入力には明確な向き不向きがあります。メリットとデメリットを正確に理解することで、自分にとって音声入力が有効かどうかを判断できます。
音声入力のメリット
執筆への集中力向上
音声入力の最大のメリットは執筆に集中できることです。
手でタイピングする場合、「手・目」の2つの機能を使いますが、音声入力では「手・目・口・耳」の4つの機能が同時に使われます。これにより**”ながら作業”が物理的に不可能**になります。
音声入力中にできないこと:
- ネットサーフィンしながらの執筆
- 音楽を聞きながらの作業
- SNSチェックしながらの作業
結果として脳のキャパシティが全て執筆に向けられ、自然と集中状態に入れます。集中力が続かない人や、作業中に気が散りやすい人には特に効果的です。
肩こり・疲労の軽減
タイピング作業による身体的疲労を大幅に軽減できます。
長時間のタイピングで起こる問題:
- 肩こりの発生
- 首の前傾姿勢による負担
- 手首の疲労
- 眼精疲労(画面凝視による)
音声入力では手や肩を使わないため、これらの身体的ストレスから解放されます。特に長文を書く際や、毎日ブログを更新する人にとっては大きなメリットです。
移動中・散歩中の活用
場所を選ばずブログ執筆ができることも音声入力の大きな利点です。
音声入力可能な場面:
- 散歩しながらの執筆
- 通勤・移動時間の活用
- カフェでの作業
- 車内での音声入力(運転中は除く)
スマホの音声入力機能を使えば、思いついたアイデアをその場で文章化できます。Googleドキュメントなどクラウド同期可能なツールを使えば、後でPCで修正・編集するワークフローも構築できます。
音声入力のデメリット
修正作業の手間
音声入力の最大のデメリットは修正・編集作業に時間がかかることです。
修正が必要な要素:
- 誤変換・誤認識の修正
- 句読点の追加
- 改行・段落分けの調整
- 文章構造の整理
特に専門用語や固有名詞の誤認識は頻繁に発生します。「WordPress」が「ワードプレス」になったり、人名や地名が正しく認識されないケースが多発します。修正時間を短縮するコツを身につけるまでは、かえって執筆時間が長くなる可能性があります。
環境に左右される問題
音声入力は周囲の環境に大きく依存します。
音声入力に適さない環境:
- 騒音の多い場所
- 他人がいる静かな空間(図書館など)
- 電話会議中の共有スペース
- 家族がいるリビング
また、プライバシーの問題もあります。機密性の高い内容や個人的な内容を音声入力する際は、周囲に聞かれるリスクを考慮する必要があります。
構造的文章との相性の悪さ
論理的・構造的な文章では音声入力の効果が限定的になります。
構造的文章で起こる問題:
- 論理の組み立てに思考時間が必要
- データや数値の確認作業が困難
- 文章の前後関係の調整が複雑
- 見出し構造の設計が困難
このタイプの文章では、思考時間が執筆時間の大部分を占めるため、音声入力による入力速度向上の恩恵を受けにくくなります。結果として、従来のタイピングとほぼ同じ執筆時間になることが多いのが実情です。
まとめ:ブログ音声入力を成功させる判断基準
音声入力でブログが早く書けるのは特定の人だけです。自分がその対象かどうかを正しく判断することが重要です。
音声入力に向いている人:
- 日記・体験談・オピニオン系の記事を書く人
- 台本なしで5分間プレゼンができる人
- 導入から締めまで一連の流れで書くタイプ
音声入力に向かない人:
- 構造的・論理的な記事を書く人
- 先に見出し構成を作ってから執筆するタイプ
- 思考時間が執筆時間の大半を占める人
試す前のチェックポイント: 音声入力可能な環境があるか、修正作業に時間をかけられるかを確認してください。まずは1記事だけ試して相性を判断し、効果がある記事タイプのみ音声入力を使う使い分けが現実的です。
音声入力の真の価値は執筆への集中力向上にあります。速度向上よりも、”ながら作業”を防いで執筆に集中できる効果を重視するなら、速度が上がらなくても活用価値があります。